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ランナーの膝痛とフォーム改善|股関節の使い方・筋力バランス・故障予防の実践ガイド

  • 執筆者の写真: パーソナルトレーナー澤田和崇
    パーソナルトレーナー澤田和崇
  • 2018年9月10日
  • 読了時間: 13分

ランナーの膝痛はフォームと身体の使い方から見直す

  • ランナーの膝痛は、“膝そのもの”よりも股関節の使い方(可動/主動)と筋力バランスの乱れが主要因になりがち。

  • 股関節主導のフォームに修正し、大腿四頭筋・臀筋・ハムストリングを適切に働かせると、膝への局所負担が下がりやすい。

  • 週2回・各10〜15分のミニドリル+動的ストレッチでも改善の糸口が作れる。

  • 着地を安定させるための「足裏・足首・骨盤」セルフケア

痛み部位別のよくある要因

ランニング中の膝の痛みは、痛む場所によって関係しやすい要因が異なります。

もちろん、痛みの原因を一つに決めつけることはできませんが、膝まわりだけでなく、股関節・骨盤・足首・足裏の使い方まで含めて確認することが大切です。

膝のお皿まわり・前面に痛みが出る場合

膝蓋骨、いわゆる膝のお皿まわりや膝の前面に痛みが出る場合は、大腿四頭筋の柔軟性や筋力、走っている時の姿勢、着地の仕方などが関係していることがあります。

たとえば、上体が後ろに傾いた姿勢で走っていたり、つま先寄りの着地が強くなりすぎたりすると、膝の前側に負担がかかりやすくなります。

また、走行距離や練習量が急に増えた時にも、膝まわりに負担が集中しやすくなります。

膝の前面に違和感がある場合は、膝だけを見るのではなく、太もも前側の柔軟性、股関節の動き、体幹の姿勢、着地のバランスを確認することが大切です。

膝の内側・外側に痛みが出る場合

膝の内側や外側に痛みが出る場合は、接地の不安定さ、足部アーチの低下、骨盤や体幹のブレ、ランニング量の急増などが関係していることがあります。

足裏で地面を安定してとらえられていないと、膝が内側や外側へぶれやすくなります。その結果、膝の一部分に繰り返し負担がかかり、違和感や痛みにつながることがあります。

特に、走行距離、スピード練習、坂道練習などを急に増やした時は、身体が負荷に対応しきれず、膝の内側や外側に負担が出やすくなります。

膝の内側・外側の痛みでは、足首や足裏の安定性、股関節まわりの筋力、骨盤の左右差なども合わせて確認していくことが大切です。

股関節が主動になっていない

ランニングでは、膝だけで脚を前に出すのではなく、股関節を使って身体を前へ進めることが大切です。

股関節の伸展、つまり脚を後方へ押し出す動きが小さいと、推進力が弱くなり、上下動が増えやすくなります。その結果、本来は股関節やお尻まわりで受け止めたい負担が、足首や膝に集中しやすくなります。

股関節がうまく使えない要因としては、主に次のようなものがあります。

・股関節まわりの柔軟性不足

・お尻まわりの筋力不足

・膝を前に出して走るイメージが強い

・骨盤や体幹が安定していない

・足裏で地面を押す感覚が弱い

股関節を使えるようになると、膝への負担を減らしながら、よりスムーズに前へ進みやすくなります。

不安定な着地が膝への負担を高める

膝の痛みには、着地の不安定さも大きく関係します。

走るたびに足裏、足首、膝、股関節、骨盤が少しずつぶれていると、着地の衝撃をうまく分散できなくなります。その結果、膝の一部に負担が集中しやすくなります。

特に確認したいポイントは、次のような部分です。

・足裏のアーチが低下していないか・足指がうまく使えているか・足首が硬くなっていないか・片脚で立った時に身体が大きくぶれないか・骨盤や上半身が左右に揺れすぎていないか・左右の脚の使い方に大きな差がないか

足裏のアーチが低下していると、指が使いにくくなり、接地が不安定になりやすくなります。また、足首の柔軟性が不足していると、滑らかな体重移動がしにくくなり、膝や股関節に負担がかかりやすくなります。

さらに、骨盤や上半身の揺れが大きい場合、着地のたびに膝へ余計なストレスが加わりやすくなります。

膝の外側痛で確認したいポイント

膝の外側に痛みが出る場合、腸脛靭帯炎などが関係することもあります。

外側痛は、フォームの乱れ、お尻まわりの筋力低下、オーバーユースが重なることで起こりやすくなります。

確認したいポイントは、次の通りです。

・走行中の姿勢や着地のバランス・脚の並び方や左右差・お尻まわりの筋力や柔軟性・足裏や足首の安定性・走行距離や頻度の急な増加

膝の外側の痛みは、膝だけをケアしても改善しにくい場合があります。股関節、お尻まわり、足首、足裏、体幹まで含めて身体全体を見直すことが、快適なランニングを続けるために大切です。

痛みが強い場合や長く続く場合は、無理に走り続けず、医療機関で状態を確認することも大切です。そのうえで、運動が可能な状態であれば、フォームや筋力バランスを整えながら、段階的にランニングへ戻していくことが大切です。

90秒セルフチェック|股関節・足裏・姿勢を確認

  1. 壁立ち:後頭部/背中/お尻/かかと接地。腰の隙間=手のひら1枚が目安。

  2. 片脚ヒンジ:骨盤が横へ流れないか。鏡で膝が内側に入らないか確認。

  3. 足部アーチ:片脚立ちで母趾球・小趾球・かかと(足裏3点)に均等荷重できるか。

→ 2つ以上で詰まる場合、股関節主導の再学習+足部の安定化から始めましょう。

正しいフォームの基本|骨盤と足の連動

  • 骨盤:軽い前傾で推進方向へ

  • 股関節:後方への伸展(押し出し)を意識

  • 足:足裏3点で静かな接地(頭部の上下動は最小)

  • 上肢:肘後方への振りで骨盤の回旋と同調

目標は「静かな接地・大きな前進」。音が小さく、視線と頭が安定していれば良い方向です。

フォーム改善に役立つ動的ストレッチとケア

ランニングフォームを改善するためには、筋力トレーニングだけでなく、走る前の準備運動や日常的なケアも大切です。

特に、股関節・膝・体幹・骨盤・足裏の働きは、走る動作に大きく関わります。これらの部分がうまく連動すると、膝や腰への負担を減らしながら、より安定したフォームで走りやすくなります。

股関節と膝の柔軟性を高める

ランニングでは、股関節がしっかり動くことで、脚をスムーズに前後へ運びやすくなります。反対に、股関節まわりが硬いと、膝や腰で動きを補いやすくなり、フォームの乱れや負担につながることがあります。

走る前には、前後への脚振り、横方向への脚振り、股関節まわしなど、動きながら柔軟性を高める動的ストレッチがおすすめです。

静止したストレッチだけでなく、実際のランニング動作に近い形で股関節を動かすことで、身体が走る準備をしやすくなります。

体幹と骨盤を安定させる

安定したフォームで走るためには、脚だけでなく、体幹と骨盤の安定性も重要です。

体幹が不安定になると、走っている時に上半身が左右にぶれたり、骨盤が過度に傾いたりしやすくなります。その結果、膝や股関節、足首に余計な負担がかかることがあります。

片脚立ち、軽いランジ、骨盤を立てた姿勢での足踏みなどを取り入れることで、走る時に必要な体幹と骨盤の安定性を高めやすくなります。

足裏3点での接地感覚を高める

ランニングでは、足裏で地面をどのようにとらえるかも大切です。

足裏の親指の付け根、小指の付け根、かかとの3点を意識することで、接地が安定しやすくなります。この足裏3点の感覚が弱いと、足首が内側や外側にぶれやすくなり、膝や股関節への負担にもつながります。

タオルギャザー、足指のグーパー運動、片脚立ちなどは、足裏の感覚を高めるために役立ちます。

走る前や日常のちょっとした時間に取り入れることで、地面を安定してとらえる感覚を育てやすくなります。

ジムで緑のTシャツのパーソナルトレーナーが片腕を上げ、反対の足を後ろに持つストレッチをしている。TRXやヨガマットが並ぶ。
動的ストレッチ

週2回でできる改善ドリル

股関節主導の再学習

  1. 股関節外旋ストレッチ 30–45秒×左右

  2. ヒップヒンジ・ドリル 8–10回×2(背中フラット・お尻を後ろへ)

  3. ラテラルスクワット 6–8回×2(膝はつま先方向・体幹中立)

肩甲帯と体幹の同調

  1. 胸椎回旋ストレッチ 30秒×左右

  2. ウォール・スライド 8–10回×2(肘・手を壁から離さない範囲)

  3. カーフレイズ 12–15回×2(母趾球意識で足部アーチ活性)

RPE(主観的運動強度):会話が可能(4–5)を基本。暑熱・疲労時は1段階下げるのが継続のコツ

膝を守るために整えたい3つの筋バランス

大腿四頭筋

柔軟性低下→膝蓋骨周囲に負担増。前ももストレッチで張り感軽減。

臀筋群

股関節伸展の主役。中臀筋の機能低下は骨盤ブレ→外側痛を誘発。

ハムストリング

内旋位/外旋位でもストレッチし、線維方向の差を埋める。

処方メモ:四頭筋ストレッチ30秒→ハム外旋30秒→ハム内旋30秒→中臀筋アクティベーション(サイドステップ等)で「伸ばす→使う」流れを作る。

紫のマットでストレッチする男性。黒いTシャツとレギンス姿で前屈し、背後にTRXやダンベル、SAWADA PT Private Gymの看板がある。
ハムストリングのストレッチ(内旋)

着地を安定させる足裏・足首・骨盤のセルフケア

ふくらはぎと足首の柔軟性がつくる安定した一歩

ランニングや早歩きの着地を安定させるためには、ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)と足首の柔軟性が欠かせません。ここが硬くなると、体重が土踏まずにかかり過ぎてアーチがつぶれ、足裏やひざ・腰への負担が増えてしまいます。膝を伸ばしたストレッチ(腓腹筋)、膝を軽く曲げたストレッチ(ヒラメ筋)をそれぞれ行い、15秒ずつ交互にキープするルーティンをつくると、着地時の衝撃も和らぎやすくなります。

足底筋膜リリースで地面をつかむ足裏へ

足裏には縦アーチ・横アーチがあり、本来は着地のクッションとバランス調整を担っています。テニスボールやマッサージボールを床に置き、土踏まずの下にあてて前後にコロコロ転がす「足底筋膜リリース」を行うことで、足裏の感覚が目覚め、歩きやすさを実感される方が多くいらっしゃいます。片足30秒〜1分を目安に、痛気持ちいい範囲で継続することがポイントです。

タオルギャザーで足裏アーチを

補強アーチそのものを保つためには、足指をしっかり使うトレーニングも効果的です。床にタオルを敷き、足指5本でたぐり寄せる「タオルギャザー」は、自宅でも取り組みやすい足裏トレーニングです。均等に5本の指を使いながら端まで寄せる動きを数回繰り返すことで、「床をつかむ足」が育っていきます。

骨盤まわりを整えて軸ブレを減らす

骨盤にゆがみがあると、左右の脚の長さに差が出たり、ランニング時の軸ブレにつながり、着地が不安定になります。体側・大腿筋膜張筋・内転筋群などをバランスよくストレッチしておくことで、骨盤がニュートラルな位置に戻りやすくなり、脚の運びやフォームも安定しやすくなります。

片脚立ちトレーニングで体幹とバランスを底上げ

足裏・足首・骨盤のケアに加えて、「片脚立ち」で体幹の感覚を高めることも、着地の安定には有効です。足裏全体で床をとらえながら片脚で立つことで、お腹やお尻の筋肉が自然に働き、姿勢が整いやすくなります。私のジムでも、年代を問わず多くのお客様に取り入れており、継続することで片脚1分以上静止できるようになったケースもあります。

こうしたセルフケアとシンプルなトレーニングを組み合わせることで、「ふくらはぎ・足裏・骨盤」が三位一体で機能し、ランニングやウォーキングの着地が安定していきます。日々のルーティンに少しずつ取り入れてみてください。

冬の準備期で差がつくマラソン力

旭川ランナーにとって冬の準備期が大切な理由

北海道の冬は屋外で走りにくく運動量が落ちがちですが、実はこの“準備期”の質が、春以降の記録と故障率を大きく左右します。雪季は走り込みではなく体づくり(可動性・安定性・筋力・心肺)を底上げできる最良の時期です。

準備期は「2段階」で考える

  • 一般的準備期:筋力・可動性・心肺の“土台”を整える

  • 特異的準備期:走動作に近づけ、フォームと持久・スピードを再現する

一般的準備期|筋力・可動性・心肺の土台を整える

目的

  • 使いすぎ部位を休ませ、使えていない筋を呼び起こす

  • 関節可動域を広げ、動きの効率と代謝を上げる

  • 低〜中強度で心肺ベースを養う

メニュー例

  • 可動性:胸椎回旋・股関節外旋ストレッチ 30〜45秒×各2

  • 体幹安定:デッドバグ/プランク 20〜40秒×2〜3

  • 下肢筋力:ヒップヒンジ/スプリットスクワット 8〜12回×2〜3

  • 有酸素:バイクorウォーク 20〜30分(鼻呼吸〜会話可能ペース)

特異的準備期|走る動きに近づける

目的

  • フォーム再学習(骨盤の前傾・上下動抑制・接地の安定)

  • LT付近の持久、インターバルで神経‐筋を再活性

  • 走るための筋出力(股関節・ふくらはぎ・ハム)を戻す

メニュー例

  • ドリル:ハイニー/スキップ/ショートストライド 10〜15分

  • ペース走:LT−10〜+10%で15〜30分

  • インターバル:400〜800m×4〜6(完全回復寄り)

  • 補強:カーフレイズ/ヒップスラスト/ハム種目 8〜10回×2〜3

  • 補助:着地3点(母趾球・小趾球・踵)の意識づけ

RPE目安:会話可=4〜5/短文のみ=6〜7。疲労が強い日は1段階下げるのが継続のコツです。

冬に整えたい故障予防の3ポイント

  1. 股関節>膝>足首の連動:股関節伸展が出ない走りは上下動が増え、足首・膝に負担が集中

  2. 3筋バラス:大腿四頭筋/臀筋/ハムの柔軟・出力を均す(ハムは内外旋位で伸ばす)

  3. 接地の安定:足部アーチと母趾機能の再学習(室内でも可)

2週間サンプルメニュー

Week1

  • Day1:モビリティ+体幹+バイク30分(RPE4)

  • Day3:ヒンジ系筋力+ウォーク30分(RPE3〜4)

  • Day6:ドリル+トレッドミル20分(RPE5)

Week2

  • Day1:スプリットSQ+カーフ+バイク25分(RPE4〜5)

  • Day3:ドリル+テンポ走15〜20分(RPE6)

  • Day6:全身ストレッチ+コア(軽め・回復)

ランナーのよくある質問

Q. 痛くなってからでも改善できますか?

A. 多くはフォーム修正+可動性回復+段階的負荷で軽減。痛み・腫れ・しびれ時は中断・受診を優先。

Q. シューズやテーピングは必要ですか?

A. 足部アーチを補助する選択は有効。テーピングは痛み軽減と意識付けに用い、根本はフォームで解決します。

Q. 雪で走れない日はどうすればよいですか?

A. バイク・トレミ・階段・ウォークで「週トータルのRPE負荷」を一定化します。

Q. 冬に体重が増えやすい場合はどうすればよいですか?

A. 筋量維持のためタンパク質は1.2〜1.6g/kgを目安に。夕方の軽い有酸素(RPE4)も有効です。

関連資格|ウォーキングトレーナー資格と歩行サポート

私はMFA認定ウォーキングトレーナー資格を取得し、高齢者や身体機能が低下し始めた方へのサポート力をさらに高めました。歩行姿勢や足の着き方、筋力バランスの調整など、安全かつ効果的に「快適に歩く」ための専門的な指導が可能となり、多くのお客様から「歩くのがつらくなくなった」「つまずきにくくなった」といった嬉しい声もいただいています。日々の学びや現場での気づきを指導に活かしながら、これからも高齢者の膝や足の健康を守り、安心して運動を続けられるサポートを追求していきます。

橋のそばで朝日を浴びながらストレッチをする女性。
ストレッチ

まとめ|楽しく長く走るために、膝だけでなく身体全体を整える

これまで旭川市内外のランナーの方々に、フォーム改善と膝周りのコンディショニング指導を継続してきました。大会前の調整から、日常のジョギングを快適に続けるための膝ケアまで、実際の現場で得た経験をもとに内容を構成しています。

膝の不調や足首の負担は、股関節を上手く使えないことから始まっているケースが多いです。適切なフォームと身体づくりで、「楽しく長く走る」そんなランニングライフを手に入れましょう。

そして大腿四頭筋・臀筋・ハムストリングの柔軟性や筋力を向上させて、膝を護る身体作りをしていきましょう。

指導者プロフィール

澤田 和崇 NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)。企業・自治体・学校、一般〜アスリートまでのべ3万回の運動指導。理念は「安全・効果・継続」。自治体健康教室・講演・少人数制レッスンの現場知をベースに、ランナーのフォーム改善と再発予防を支援。

関連リンク

※本記事は、過去に公開したランニングフォーム・膝痛対策の記事を統合・再編集した内容です。最新の知見と現場事例を反映し、見直しやすい構成に整えました。

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